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たまには

このブログには、最近あまり政治的なネタを書かないのだけど、この間読んだポール・クルーグマンのコラムがすごく正直で面白かったので、ちょっと書いてみる気になりました。

クルーグマンが言うには、今の時代、アメリカの共和党の大統領候補として選ばれるには、2つの方法しかない。心から信じてもいないことを、あたかも信じているように演技ができるか、または、全くの馬鹿か。そのどちらかしかない。今の世の中、共和党の支持者が信じるような保守的な政策や小さな政府で、難局を乗り切れるわけがない。そんなことは、少し考えれば分かる。でも、それを分かっていながら、分からないふりをするか、あるいは本当に全く分からないか。そのどちらかしかない、というような話でした。そう言われてみると、あの前大統領は、果たしてどっちだったのだろう、という疑問も浮かぶが、それは本題とは関係がない。

でも、アメリカ大統領選の度に思うのは、アメリカ国外のことを何も知らない田舎の保守的なアメリカ人に、世界に良くも悪しくも影響力のある権力者を選ばせること自体が、仕組みとしてマッチしていないと思う。ただ、今回の大統領選挙は、前回や前々回と比べて、あんまり関心をひかないのはなんでだろう。さすがにもう無茶な戦争はできないだろう、というのがひとつ。それから、アメリカにそれほどの力が亡くなって来たのが、もう一つの理由かな。それよりも、習近平がどんな考えの人間なのか、のほうが重要かもしれない。

日本の政治は、もう目を覆うばかりですね。この悪い流れは、安倍元首相の自民党が選挙で負けて、構造改革の流れが逆行し始めてからだと思う。あるいは、良くも悪しくも理想主義だった民主党に小沢一郎が入って、選挙目当てのばらまきの人気取りをやり始めたのも、ひとつの流れの元だと思う。小沢一郎は、自分の言っていることが、本当に国のためになると信じてるんだろうか。そうだとしたら全くのお馬鹿さんだし、そうじゃないとしたら、やっぱり単に権力が欲しいだけなのかな。

すでにあるお金をどう分配するかではなく、どうやってパイを大きくするか、を考えないといけないのに、その逆ばかりをやっている。国で使えるお金なんて限りがあるのだから、お金を使わずに経済を刺激しないといけない。どんどん規制緩和をして、新しい商売を生まれさせないといけないのに、既得権益を守ることばかりやっている。

工場がどんどん海外に流れて国内の仕事が減る一方なのに、いまだに農業保護のためにFTAに抵抗している。国内の雇用を増やすためにFTAが必要だ、ともっとはっきり説明すればいいのに。日本が強くなるために、みたいな抽象的な言い方ではなくて。 実際それがすべてなんだから。(でも、ハードルの高いTPPじゃなくても、ASEAN+3とか、日欧、日米のような相対FTAのほうがいいかもしれない。) 

FTAだけじゃなくて、国内の設備投資に対して、派手な優遇税制を認めるとか、本気で国内の雇用を増やさないと、日本はとんでもないことになると思う。今のアメリカみたいに、大学を出ても何にも仕事がない、というのは、日本の数年後の姿だろう。製造業からサービス業にシフトする、というのはいいけど、サービス業だけで吸収できる数には限りがある。サービスされる側の人口も減ってるわけだし。

それに、少子高齢化が問題なのだから、もっと本気で少子化対策をやるしかないのに、なーんにもやらない。幼保一元化とかいいながら、何をやってるのかさっぱり分からない。重点的に優遇税制でもして、設備投資をさせて、徹底的に待機児童をなくさないといけないのに。安く簡単に子供を預けられるようになれば、もっと子供を産みやすくなるだろうに。

そんなことが分からない政治家がいるのかいないのか分からないけど、分からないふりをしているのか、本当に分からないのか。クルーグマンのコラムを読んで、そんなことを考えたのでした。最近日本の新聞を読んでいると、大阪都構想もいいけど、日本には、もっと他にやるべきことがたくさんあるだろうに、と思うのです。
by TuscanyCafe | 2012-02-14 01:22 | 思う
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