ことば

新聞で作家の高橋源一郎がある女性の言葉を引用していた。
「読書は、人生の全てが決して単純ではないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ。人と人との関係においても。国と国との関係においても」

これは、美智子皇后が何年も前の国際児童図書の大会で行った講演での言葉だ。僕は特に皇室ファンではないけれど、こういう言葉を話す人はそれだけで信頼ができると思った。

なぜ彼女の言葉が心に響くのか、高橋源一郎が分析して言っている。
「彼らのことばには一つの大きな特徴があるように思った。彼らは、『社会の問題』を『自分の問題』として考え、そして、それを『自分のことば』で伝えることができる人たちだった。そして、そのようなことばだけが、遠くまで届くのである。」

それにしても、たとえば日本の職場に帰って、こういう話をしたときに、意味を分かってくれる人がいるだろうか。僕が前にいた職場で思い浮かぶのは、派遣できていた女性一人だけである。あとの人は、本当は分かるのかもしれないが、そういうものとは全く違う価値観や言語で日々会話をしているので、急には切り替えられないのかもしれない。

今の職場だったり取引先であったり、むしろ日本人以外ならば、こういう会話をできる人がもっと思い浮かぶ。そういえば、さっき思い浮かんだ日本の職場の派遣の女性も、米国暮らしが長いのだった。自分の言葉で話さない人との会話ほど退屈なものはない。頭だけでなく、心で考えて話される言葉には響く力がある。
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by tuscanycafe | 2013-11-02 02:08 | 言葉 | Comments(0)
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