カテゴリ:暮らす( 233 )

呼吸

少し前に読み終わった宮下奈都のベストセラーがとてもよくて、こういう作品がベストセラーになるのはよいことだなと思う。言語にならない空気、匂い、湿気、温度、音。それらを感じることの大切さを実感させてくれるような話だった。そしてそういうものが個人的な経験にとどまらず、仕事や人生にも生きてくることを。

たぶん前にも書いたことがあるが、家から最寄り駅までの間に小京都のような短い道があって、僕は毎朝必ずそこで立ち止まって木々を眺める。どんなに急いでいるときでも5秒くらい、そうでなければもっと。そこで木々を見上げて呼吸をすると、明らかに生気が体のなかに戻るのを感じるし、わくわくするような強い感情がお腹のあたりから胸のほうに湧き上がってくることもある。マイナスイオンなのかパワースポットなのかは分からないが、はっきりとそれを感じる。

今日は久しぶりにギターを持ち出して、昔練習した曲を少し掻きならしてみたりした(High and Dryとか)。ギターの生の音もまた、録音されたものとは違い、体を浄化するような作用を感じて、そういうことに昔よりも敏感になっているのに気づく。この文章を書いているうちに、BGMがたまたまSigur Rosになり、昔はそれほど惹かれなかった彼らの音楽が今体に沁みるように感じるのも、同じ傾向かもしれないと思う。

こういうこと全部と、この小説から伝わってくることは、地続きなんじゃないかと思った。


[PR]
by TuscanyCafe | 2018-05-13 22:59 | 暮らす | Comments(0)

小京都

僕の家の近くに小京都のような一角(本当に一角、というか一軒だけ)があって、僕は毎朝そこで立ち止まって桜の枝や、瓦の隙間から生えている草などを眺めている。僕にとってはちょっとしたパワースポットで、気持ちがすっと清められる場所。

今もその家の前を、塀からはみ出た木々を眺めながら歩いていたら、その家のご主人が犬の散歩に出てきて、桜の枝を指さして僕に向かって何やら言っている。僕はヘッドフォンを外して、「もう咲きますか?」と聞いたら、「もうすぐですよ」の返事。僕はいつも立ち止まって塀の中を覗いているので、ずっと不審者と思われないか心配だったのだが、いい機会なので、「咲いてないときも含めていつも楽しみに見させてもらってるんです」と伝えたら、逆に「有難うございます」のお返事。上品でいい人だな。

何を期待するわけでもないが、それでも好きなものを好きと表現し続けると、いいことがあるな。今日の会話から何が生まれるわけでもないけど、いい夜だ。今日は、半年間かけて打ち込んできた仕事もうまく行ったし、尚更いい夜だな。


[PR]
by TuscanyCafe | 2018-03-12 22:28 | 暮らす | Comments(0)

gap

モスバーガーで仕事中。

向かい側の席に座っているお婆ちゃんが、「キャッシュカードとつながったnanacoカードを失くしたのだけど、どうしたらいいか」という問い合わせの電話をしている。その手には電話が無く、マイク付きのイヤホンを使ってハンズフリーで話している。

気の毒なのだけど、なんか風貌と話の内容と諸々のギャップが面白かった。10年後の日本(あるいは現代の中国)を見ているような感覚。


[PR]
by TuscanyCafe | 2018-03-04 15:16 | 暮らす | Comments(0)

雑記

ちょっとしたことが重なって今日は疲れている。そこにfbが数年前に一番ボトムだった頃の投稿を表示してきた。今日がそのアニバーサリーらしい。そのボトムからすればよく立ち直ったよなという思いと、まだそれだけしか経ってないのかという思いが混じった。


[PR]
by TuscanyCafe | 2018-02-22 23:22 | 暮らす | Comments(0)

雨音

実家に帰り、庭の草木に落ちる雨の音を聞いていたら、東京で聞く雨の音とは全く違うのに気づいた。

雨の音は本来こういうものなんだな。たとえば作曲や作画やビジネスの着想だって、これを聞きながら考えるのでは、明らかにアウトプットが違うだろうと思えた。

[PR]
by TuscanyCafe | 2017-12-26 00:19 | 暮らす | Comments(0)

Holiday morning

朝から鬱である。そもそも時差ボケで、ちゃんとした時間に寝起きができない。それでも朝起きたらフランス人の友達からテキストが来ていて、彼はもう何年も失業したままで、返事を軽く書くか重く書くか悩む。少し前から真面目に離婚を考え始め、将来に向けて明るい気持ちになることもあるが、逆に今は現実的な諸々を考えて気分が暗くなっている。そんなことなら今のままでよいか、と弱気になる。テレビをつけてもワイドショーで余計に憂鬱になる。

それはそうと昨夜のカズオ・イシグロのNHK白熱教室は面白かった。僕は彼の作品は大好きだが、何が好きかと聞かれると上手い言葉を持たない。これは彼に限らず他の小説でも絵画でも同じで、人に説明する努力をあまりしたことがないから、いつまで経っても言葉にならない。それはそうと、昨日彼が自分の作品や小説というものについて語ったことは、なるほどと思わせることが多く、面白かった。

あとバラエティ番組で歌のオーディションをやっていて、辛口審査員のいうコメントに説得力があり、それと向き合う出演者の姿もよかったが、番組の作り自体がやかましく、なんでthe VoiceやAmerican Idolのように普通にできないのか、とも思った。でも他にないので多分また見ると思う。


[PR]
by TuscanyCafe | 2017-10-09 12:32 | 暮らす | Comments(0)

Filtered bubble

Filtered bubbleという言葉がある。気に入ったものばかり調べていると、それに関する情報ばかりが集まり、他のことが見えなくなるということ。フィルターを通った泡の中に包まれる感じ。

最近のウェブやアプリのサービスは特にその傾向が酷くて、今の僕のPinterestのフィードには、Cy TwomblyとGerhard RichterとSaul Leiterばかりが流れてくる。昔しんどかった頃は人生訓で溢れてしまったし(笑)。極端だよ。




[PR]
by TuscanyCafe | 2017-09-07 12:33 | 暮らす | Comments(0)

きるもの

僕にとっての日本は冬だった。夏に帰ってきたことがなかった訳じゃないが、数年ぶりに本帰国したら翌週に雪が降ったし、それ以降ずっと冬だった。

急に春がやって来て、着るものがなくて困っている。春の服なんて持っていないのでお店に買いに行ったが、そこでもどうしたらいいのか困ってしまった。

アメリカにいた時は、大抵バナリパで、あとはGAPかブルックスブラザーズ。それ以外の店自体殆どなかった。

シンガポールにいた時は、エスプリかマンゴー。近所のモールに入っていたから。

日本はいろんな店があって選択肢が多すぎるのと、多すぎる割には欲しいものが少ないので疲れてしまう。海の中から宝物を見つける作業は、買い物好きには楽しいのだろうが、僕には面倒だ。一通り揃えるまではしょうがないが、その後は、ずっと同じものを着ることになるかもしれない。

バナリパは、あれだけよく来ていたのに、日本やシンガポールで見かけても、結局買ったことがない。気候とか気分とか、土地に影響されるのかな。


[PR]
by TuscanyCafe | 2017-04-29 12:09 | 暮らす | Comments(0)

everything is possible

子供の頃に抱いていた全能感に一番近いのは、熱い風呂に入った時だ。
赤道直下の街にいたときは味わえなかった感覚。


[PR]
by TuscanyCafe | 2017-02-24 23:55 | 暮らす | Comments(0)

Let me through

今日ライブに行く前、急いでいたので長いエスカレーターの右側を歩いていた。子供を右側に立たせていた人がいたので、すみませんと声をかけて通らせてもらおうとした。聞こえないのか反応がなかったので、すみません、右側歩いていいですか、と再度声をかけたら、「エスカレーターを歩かないでください」と震えた声で返ってきた。そう言いながらも右側を空けてくれたので、通らせてもらったが。

正直めんどくさいなと思った。エスカレーターの片側を歩きたい人に空けておくのは日本の(&多くの国の)慣習だし、エスカレーターを歩くなというのは、デパートなどのお店側が万が一の怪我の責任負わないためのアリバイであまり意味は無いと思う。

でもそういう理屈云々よりも、人から何かを指摘されることを嫌って必要以上にディフェンシブになったり、自分の主義を押し通そうとしたり、そういう人が多いことに、正直疲れるなと思ってしまった。どうでもええやんと思う。

僕も納得できないことは割と口にするタイプなので、今日の彼は僕の同類なのかもしれないが、それでも面倒くさいなと思うのだった。こないだまでいた国の人達は、そもそもエスカレーターの片側を空けておくような気遣いの習慣がなく、それはそれでイラつくこともあったが、しょうがねえなあと思えた。日本に帰ってくると、そういうストレスはなくなるが、逆にこれはこうすべき、あれはこうしてはいけない、という不文律が沢山あって、それを忘れていると知らない人から怒鳴られたりするので、本当に面倒くさいなと思う。そう考えると、知らず知らず今日の彼の立場になったときに、面倒くせえなぁという態度を取らないよう気をつけないといけない。

日本はいろんなサービスや気配りが素晴らしいが、それとセットでくっついてくるストレスとか面倒くささもある。悪気がなければ殆どOKだった前の街が懐かしく思う。



[PR]
by TuscanyCafe | 2016-12-23 23:20 | 暮らす | Comments(0)