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びば!

ビバ!ハーヴェイ賞受賞!


なにやら世界的な漫画の賞を獲ったらしい。名作だから当然とも思うが、ちゃんと評価されて嬉しいとも思う。僕は作者じゃないし、主人公と同じ苦しみを味わったわけでもないのだが。

この作品では、作者が学びを得て苦しみから解放されていく、という風に読めたのだが、最近の作者の作品(一人交換日記)を読むと、まだまだ楽ではない様子がうかがわれ、そんな単純ではないのだなとも思う。物語を読む側としては、ついつい救いを求めてしまうのだが。でも、名作には違いないので、ビバ!ハーヴェイ賞!



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by TuscanyCafe | 2018-10-16 22:22 | 観る読む聴く | Comments(0)

無駄遣い

日比谷の新しいビルにできた有隣堂書店の新形態店のニュースを新聞で読んで興味を持ち、その後オープンまでの準備を追ったドキュメンタリーをテレビで見て、こりゃダメだろうなと思い、実際に訪れてやっぱりなと思った。

その店は本屋と居酒屋と床屋と眼鏡屋と洋服屋が一体になった店で、一日いても楽しい街のようなお店といったコンセプトらしいが、眼鏡を買って服を買って散髪して酒を飲みたい日が年に何回あるか分からないし、そもそも同じ店のなかに全部揃っていても何も嬉しくない。それに、それらの店が本屋と一緒になっていることで得られる楽しさが何もない。

ドキュメンタリーを見る限り、有隣堂が三井不動産から紹介されたデザイナーの遊びに付き合わされて大金をどぶに捨てただけというのが真実だと思う。もうオープンして数ヵ月たったので、今頃は有隣堂の経営者も後悔していると思う。

本屋は、本好きが作るべきなのだ。だから、この有隣堂にできたセレクト書棚のようなものは面白い。(ただし、セレクトする人は、「この店舗に関わった人」といった運営者側の自己満足ではなくて、訪れる人が読んでみたいと思える人を選ぶべきなのだ。それもアイドルとか人気タレントではなく、本好きを唸らせる選者を選ぶべきなのだ。) この日比谷店で一番面白いと思えた書棚は有隣堂の店長のセレクトによるものだった。その人だけが本好きで、他の人は自分の仕事や趣味の世界の本を並べているだけ、あるいは気取っているだけのように見えた。本以外のスペースを全部潰して、たくさんのユニークな選者によるセレクト書棚だけの本屋にすれば面白いと思う。

たまたまその向かいのビルにできたHMVによるCottageという本屋はいいと思った。ヅカファンやジャニーズファン向けのコーナーは邪魔だが、それ以外のコーナーはいいセレクトをしてると思う。海外では本屋がどんどんなくなっている気がするが、日本ではセレクト本屋の勢いがあるのが嬉しい。

たまたま訪れた川崎駅ビルの有隣堂がとても良かったので、なんだ、やればできるじゃん、と思った。どんな商売でも、商品に情熱を持っている人が作ったものでないと、お客の心にも決して響かないといういい証拠だと思う。


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by TuscanyCafe | 2018-09-02 14:43 | 思う | Comments(0)

リセット

夏への扉という60年前に書かれたSF小説の名作を読んでいる。SF小説と思って読み始めたのに、信頼していた婚約者と仕事上のパートナーから壊滅的に裏切られる話が出てきて、どーんと鬱になってしまう。僕はここまで悪意を持って裏切られたことは一度もないが、悪意の有無を問わず、僕はこの手の話にはとてもセンシティブでダメだ。

それで家に帰ってきて、意識的にYouTubeでRe: Folkloreのライブ映像を見て癒される。温かさらや純粋さらや誠実さやら前向きさやらがそこにあって、ほっとする。何があってもちゃんとした人間でいようという気持ちに戻ることができる。

(追記)
夏への扉を読み終わりました。さすが名作と呼ばれるだけあって、よくできているし、次々と読ませる力があって、また後半は痛快でした。



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by TuscanyCafe | 2018-08-01 23:50 | 観る読む聴く | Comments(0)

今更ながら「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」を読んだ。

今更ながら、永田カビ「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」という漫画がすごいと思う。下手な純文学を読むよりも、よほど人間のことが描かれている。作者が10年間自分自身に苦しめられたあと、いくつかの大きな発見をし、解放されてゆく話。なのかな。実はとても深刻な話なのに、絵のタッチが明るくて読みやすい。そして作者の実体験がおそらくとても正直に書かれているので、すごく心に響く。パン屋の面接のシーンや、主人公が解放されていく過程を読みながら、電車のなかで僕ももらい泣きをした。二度目を読んでも同じだった。

僕は筆者が閉じ込められたのと同じ檻には入ったことがない。親のご機嫌を取らなければいけないという強迫観念もなかったし、性的な欲求は抑え込まなければいけないと思ったこともなかったし(というと嘘になるか、かっこつけて隠す傾向はあった)、物理的な自傷行為はしたことがなく、そこそこ大切にはしてきたと思う。それでも、心に響くところが少なくなかった。自分に当てはめると、無意識に属する組織のご機嫌を取ろうとしている自分がいたり、自分自身よりも人との関係性に依存する傾向があったり。毎秒毎秒が苦しい、というのは僕も経験がある(ここまで長期間ではなかったが)。また読み返せば、他にも共鳴するところが見つかると思う。

とにかくとてもよいので、一読をお薦めします。実は壮絶な話なのに、楽しく深く読めてしまう漫画ってすごい。


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by TuscanyCafe | 2018-07-12 23:36 | 観る読む聴く | Comments(0)

呼吸

少し前に読み終わった宮下奈都のベストセラーがとてもよくて、こういう作品がベストセラーになるのはよいことだなと思う。言語にならない空気、匂い、湿気、温度、音。それらを感じることの大切さを実感させてくれるような話だった。そしてそういうものが個人的な経験にとどまらず、仕事や人生にも生きてくることを。

たぶん前にも書いたことがあるが、家から最寄り駅までの間に小京都のような短い道があって、僕は毎朝必ずそこで立ち止まって木々を眺める。どんなに急いでいるときでも5秒くらい、そうでなければもっと。そこで木々を見上げて呼吸をすると、明らかに生気が体のなかに戻るのを感じるし、わくわくするような強い感情がお腹のあたりから胸のほうに湧き上がってくることもある。マイナスイオンなのかパワースポットなのかは分からないが、はっきりとそれを感じる。

今日は久しぶりにギターを持ち出して、昔練習した曲を少し掻きならしてみたりした(High and Dryとか)。ギターの生の音もまた、録音されたものとは違い、体を浄化するような作用を感じて、そういうことに昔よりも敏感になっているのに気づく。この文章を書いているうちに、BGMがたまたまSigur Rosになり、昔はそれほど惹かれなかった彼らの音楽が今体に沁みるように感じるのも、同じ傾向かもしれないと思う。

こういうこと全部と、この小説から伝わってくることは、地続きなんじゃないかと思った。


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by TuscanyCafe | 2018-05-13 22:59 | 暮らす | Comments(0)

連休最後の日曜日

近所のマクドナルドの選曲がなぜか良くて、マクドっぽくない。全国的に同じなのか、地域的なものなのか、個別の店のチョイスなのか(多分それはない)分からないけど、今日はHazel EnglishとかThe Shacksとかドリーム・ポップぽかった。

窓際の桜の木が見える席で、宮下奈都が書いたピアノの調律師の話を読んでいると、目には見えない湿度や匂いや音が広がってきて、緑の空気が恋しくなり、場所を日比谷公園に移した。この小説はベストセラーになったので少し警戒したが、とても良いと思う。自然の中に身を浸すと心身が洗われる感じがするが、こういう小説も似た効果があると思った。

昔自分が気に入った本を人にあげたことが何度かある。宮下奈都のデビュー作もその一冊だが、人に好きな本をあげると、相手も気に入ってくれることを期待してしまい、反応が薄かったり皆無だったりしてがっかりするので、あまりいいプレゼントではないのだと思う。人それぞれツボが違うので、そういう期待は人に持たずに、小説のなかの人物(あるいは著者)との共感を喜ぶべきなんだと思う。

結局日比谷公園の高台で2,3時間読書をして、そのあとJANISに寄って帰った。日比谷は新しい商業ビルができて、人の流れがかなり変わったようだ。



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by TuscanyCafe | 2018-05-06 18:39 | 観る読む聴く | Comments(0)

blue giant

前にも書いたかもしれないけど、漫画のBlue Giantが本当に素晴らしい。今はもう日本編10巻を終え、海外編のBlue Giant Supremeの2巻まで出たところ。巻を追うごとにどんどん素晴らしくなってきて、最新刊も良いエピソード、台詞がたくさんあった。何が良いのかは書きませんが、Must Readとしてお薦めします。



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by TuscanyCafe | 2017-07-16 21:16 | 観る読む聴く | Comments(0)

断捨離

引っ越しで段ボール4箱分の本を処分した。2箱は引っ越し前に日本人会に寄付。もう2箱は、トランクルームにあった本の一部を引っ越し後に古本屋に売却。今は、箱に詰めて連絡すれば取りに来てくれるサービスがあるので便利。たいした金額にならないのは経験上知っているし、いくら安くても売るしかないけど、見積額がいくらになるか、少しだけ楽しみにしている。さすがに2箱で数百円ということはないと思うので、数千円の下の方かなと思っている。

娘の小さい頃の思い出の品も少し整理した。すべてキープすると場所を取って仕方がないので、残すものと捨てるものを分けた。娘が描いた絵は、幼稚園に入る前あたりまでが素晴らしく、その後になると、つまらない絵になってしまう。幼稚園で習ったから、というのではなく、周りや大人の真似をしたり、頭で考える知恵がついてくるからだと思うが、それを学ばずにあのまま伸びていったらどうなるのかな、と思ってしまう。素晴らしいアウトサイダーアートがあるのは、そういったことなのかなと思う。
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by TuscanyCafe | 2016-11-27 22:54 | 暮らす | Comments(0)

逢沢りく

30を過ぎたころから漫画を読まなくなってたけど、最近また読み始めた。最近の漫画の幅の広がりはすごいと思う。この漫画「逢沢りく」を読んで、こりゃ文学だなと思った。

都会の女の子が別の土地に行って別の自分を見つける、というありきたりな読み方も可能だけれど、そうやって安易に開放してしまうのではなく、そういう生きづらい生き方をしてしまう人、人にそういう生き方を強いてしまう人にも優しく焦点をあてていて、なんどか読み返して考えてみたいと思わせる内容だった。

とはいえ、主人公の心の動きが描かれる真横で、それと関係なく繰り広げられる大阪の家族のやりとりがリアルで笑えて、そういうところも完成度がものすごく高いと思った。

海外にいてもキンドルで気軽に安く買えるようになったから、この間の甘酸っぱい「子供はわかってあげない」以降、結構いろいろ買って試している。
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by TuscanyCafe | 2016-02-11 00:06 | 観る読む聴く | Comments(0)

残る

下に書いた文章に似た話で、今日読んでいた漫画に出てきたこと。高校生が祖父のやっている書道教室で代わりに先生をして子供たちに懐かれている。それでも大人になればこの子達は俺のことはすっかり忘れるだろうなと彼が言ったのに対して、その友達が、あなたのことは忘れても、あなたが教えたことはこの子達に残るでしょ、というシーンがあった。特に鋭いわけではなく普通の会話なのだけど、そういうことなのだろうと思った。

僕の夫婦は普通の家族みたいに何かを築いていける信頼関係も愛情もなく、本当になんで続けているのかさっぱり分からない。だから虚しくなり殆ど自傷癖があるかのうようにいろんな問題を起こしてしまうのだが、そんなことをしなくても、日々流れていく人間関係のなかでも、いつか会うことも思い出すこともなくなっても、残っていくものはなにかあるかもしれない。蜩の記に出てくるお姫様のように一生を規定してしまうような残り方ではなくても、薄く積もるような形で。あるいは、今やっている仕事も、今のためだけにやらずにこれからも残っていくように意識してやっていけば、それは残っていくだろう。だから虚しさを追い払って、そういうことを想像しながらやっていきたい。

最近の漫画は本当にいろんなのがあって、探せばいいものがいるんだね。知らないだけで。今読んでるのは「子供はわかってあげない」。表紙がメルヘンぽいけど、中身はメルヘンではない。
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by TuscanyCafe | 2016-01-10 15:37 | 観る読む聴く | Comments(0)